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noteを、久々に更新し始めて少し時間が経ちました。
以前の記事で、現在ハマってるものを後日くわしく書きたい!と、
なんだか社会人になってから、自分の中に欲望が芽生えることは非常に少なくなったのですが、(これってよくよく考えたら、悲しすぎる。そういえば年の始まりに新しい手帳に2023年にやりたいことリストを書こうとしたのだけれど、思いつくことがあまりなく、それは非常に悲しい気持ちになりました…。欲望!!芽生えてくれ!!)
自分が好きなことを、とにかく書きたい!という欲が芽生えたので、それを達成していきます。

あと、20代も半ばすぎて、なんかこう、どっぷりハマれるものが(時間的余裕もあるのかもしれないけど)いろんなことを客観視するようになってかわからないけれど、あまりなくなった。だから、そういう1つ1つの自分が「こころ動かされた」ものを大事にしていこうと思う。

そういうわけで、オールタイムベストというよりも、最近、ここ1-2年でハマったものを書いていきます。目を通していただければ幸いです。

 

目次
音楽
ラジオ

映像
美術展
お菓子
おわりに

 


音楽


Adele

ハスキーボイスと、強いメッセージ性のある女性シンガーが好きだ。
(レディー・ガガエイミー・ワインハウスファーギーとか…。)
アデルは、今年の夏くらいにたまたまYouTubeで、Rolling's in the Deepを会場で歌う姿の動画を見て、ものすごいパワーを感じた。
はかないものも好きだけれど、洋楽を聴く時にはやっぱりパワーというか、生命力を感じるものを求めているんだと思う。


洋楽シーンにおける女性アーティスト、は見た目の強さにも惹かれる。ジェニファー・ロペスとか、それこそ昔は、このひとって、綺麗なんだろうか…?とか思っていたけど(それを率直に母親に聞いたことがある。「まあ、アメリカは美の基準なんて日本よりも圧倒的に多様だからね」と返されて納得した。)、いやその、綺麗とか、そういうことじゃないねん…。「強さ?」圧倒的な。そういうのを、洋楽カルチャーに求めているんだと思う。

やっぱり、感情の表出とか、メッセージ(自分の言葉を伝える)とか、自己主張できること、そういうのを私は「強さ」だと思っていて、それが圧倒的に、彼女たちのようなアーティストたちにはある。

Wham!

今年の夏、NetflixWham!(80-90年代で活躍したイギリスの男性デュオ)のドキュメンタリーを見た。少し話は逸れるけれど、Netflixのスターたちのドキュメンタリーが好きである。パメラ・アンダーソンとか、ごくごく最近だとベッカムとか。もうとにかく、「本人」に焦点を当てて、当時のマスコミの彼らの扱いだとか、世間の反応だとかそういうものとの矛盾をひとつひとつ解きほぐしていく。

デビュー40周年を記念して、<ワム!>の長編ドキュメンタリー作品がNetflixで7/5に配信開始!シングル・コレクションも8形態で7/7リリース。 | ワム! | ソニーミュージックオフィシャルサイトソニーミュージックによるワム!公式サイト。ワム!の最新ニュースやリリース情報、ビデオ、ライブ・イベント出演情報、メディア情www.sonymusic.co.jp
Wham!は、何曲が聴いたことがあるくらいだったのだけれど、
実際彼らの結成エピソードとか、生い立ちとかを初めて知った。

移民、労働者階級、不景気のイギリス社会、抑圧や若者的なパワーを背負って、Wham!は、そしてジョージマイケルは、生まれた。
スターダムへと駆け上がり、世間の需要、マスコミの求めるもの、自己イメージの複雑化が描かれる。

だけれど、素敵だなと思ったのは、結局のところ、波はあっても当初から友人同士だった二人の友情が保たれたこと。相手の個性を認め、受け入れる姿勢、見捨てないこと、距離が必要に感じたら離れること。
これさ、もう道徳だから…。

ちなみに、彼らの名曲の1つであるWake Me Up Before You Go Goも、2人が家に泊まっている時の、Wake me up before you go. 「出かける前に起こして」というメモを書き損じて、goを2つ書いてしまったことに端を発しているらしい。それだけでさ、マジでさ、それもいいはなしよ!友情最高!ジャンプで漫画化して!!

ラジオ
さて、社会人になってからなかなか聴く時間が少なくなったものの、たまーに、余裕がある朝に聴いています。時間の関係もあって、ANNとかは、なかなか厳しい…。そんななかでどハマりしたラジオがあるので、紹介しますね。

ちなみに、以前までのラジオの話はこちら。修論書いてたつらい時期、圧倒的にラジオの存在に救われたので、これからも聴き続けたい。


マユリカのうなげろりん!!

マユリカのうなげろりん!! | ラジオ関西 AM558 FM91.1人気急上昇したいお笑いコンビ・マユリカPodcastオリジナル番組です。 Podcastランキングの上位を目jocr.jp
お笑い、かなり好きな人なら知っているであろうこのコンビ(何が言いたいんだろう…(笑)でも最近、地上波にも出てます!)、マユリカに今絶賛ドロドロに沼っている…。

マユリカは、大阪吉本で活動をはじめて、霜降り、コロチキ、ビスブラとかと同期。3歳からの幼馴染で、コンビ名の由来は2人の妹の名前がマユ、とユリカだったってこと。ネタ合わせはよく、メイド喫茶で行う。今年の春に上京したが、2人とも家賃は20万越え。ボケの阪本は、インテリに見えるが都道府県の場所がわからない。ツッコミで強烈キャラの中谷は、元器械体操部で、漫画家を目指していて漫画で賞もとっている。
(このプロフィールだけでもう強くないですか???)

ニューヨークと話している動画が、2人のことがすぐにわかるんで、全人類みてくれ。(文体揺らぐ…。)

そんな2人のキャラの強さと、掛け合いが大好きで聴いているラジオです。
ちなみに、このニューヨークの動画の中で屋敷さんの発言に強く共感したんですが。
「イチャイチャが分かりやすいダイアンさんみたいやな。」
っていう。
いや、それな????いや、それな??????私が言いたかった。それ。
なんか、掛け合いというか、阪本のいうことに中谷がとにかく翻弄される感じが、ユースケのいうことに翻弄される津田の関係にめっちゃ被るんですよ。(両方好き。)だけど、ダイアンよりもお互いの距離が近い。

それで、ラジオの話なんですが(引っ張り過ぎたここまで。)、ラジオ関西で収録していて(前は神戸で、今は東京のスタジオ。)、Podcastで聴くことができます。収録の様子の動画も、公式でYouTubeにあげてくれてます。(ヘビーリスナーすぎて音源きいて、動画もみてる。)

うなげろりんの面白さって、2人の挑戦、なんだよね。
ラジオって、ともすれば持論の展開とか、斜に構えたトークとか、そういうのに終始しがちで(いやそれもおもろいんだけど、)閉鎖的な面白さが魅力なんだと思うんだけど、
このラジオ、基本的にどちらかが、何かをはじめてみる、とかやってみるとか、そういうことを中身にしてるから、感情が素直で、生々しくて、だから面白い。

例えば、
・中谷の1人ミュージカル
・収録中にマッチングアプリ登録
・DJをはじめてみる
・ラジオで推しと合う
・上京
・昔の日記を相方に読み上げられる

企画自体は、罰ゲームとか、〇回記念とかそういうことでやってたりなんだけど、とにかく彼らがきちんと「挑戦」をして、しかもラジオだから、とにかく状況、とか、感情とかを話す。とにかく2人で遊ぶことをずっと続けていて、その生の感情(特に中谷の、追い込まれた時の感情が面白過ぎる)が私は好きなんだと思う。何かをクサしたり、造語をつくったりという芸人ラジオ独特の内輪ノリとか、それも面白いんだけど、そことは一線を画すラジオだと思う。ドキュメンタリーボイスみたいな…。(そんな言葉あるんか知らんけど)

なんか、Wham!もそうだけど「友情」に惹かれるのかな???

(ちょっと長く書きすぎた!!)


今年に入って、本は17冊ほど読んでいる。通勤の電車とバスの時間を、全てではないけれど、読書に費やしている。小説、評論などいろいろ読むのだけど、いちばんすーっと自分の中に入ってきたのはコレ。

Cathedralwww.amazon.co.jp1,425円(2023年10月09日 22:53時点 詳しくはこちら)
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Raymond Carver , Cathedral(1983)
レイモンド・カーヴァー『大聖堂』(翻訳は、村上春樹が出してます。)

ミニマリズム」の作家、レイモンド・カーヴァー
ミニマリズムは、文章自体も短く(短編が多い。)、ゴテゴテと感情を書くのではなく、起こった出来事と、所感を平易に書くスタイルの作家であり、カーヴァーが代表である。

この、Cathedralは、彼の最も有名な短編集のうちの1つである。
60-70年代のアメリカが基本的には舞台である。
ベトナム戦争の長期化と泥沼化からの、経済危機。反戦、ヒッピー、ドラッグ、アルコール。複雑にして混乱した意味をもつエッセンスで世の中が溢れている時代である。

カーヴァーの描くアメリカの姿は「どこにでもある」街、「どこででも手に入る」物、が多く出てきて、そして核家族の夫婦の危機(からの孤独)とアルコール依存が頻出のモチーフだ。

カーヴァーは、その孤独を、消費社会の孤独と重ね合わせる。
例えば、失業中の夫と、関係が冷却化している。夫はずっと家にいて、それは妻には少しつらい。ある日帰ると、冷蔵庫が壊れていて、中の冷凍していたものがドロドロに溶けている。オークションで中古の冷蔵庫を買いに行こうとするが、どちらのお金で??彼女の父親は、オークションで買った中古の車の不具合で、事故死したことが描かれる。

機械の不調、そこにのみこまれる人、孤独が重なる。
消費社会時代の悲劇は、激しくはないけど、こういうものなのだろう。

一方で、ほっこり心温まる話もある。
見ず知らずの人との間に芽生える、つながり、をカーヴァーは書く。

 

映像
相変わらず、Netflixでもアマプラでも映画やドラマ(あとはハマったのはバチェラーね!!!)を見漁っているけど、特に心の動いたものを書く。

 

 

サンクチュアリ -聖域-

今年のNetflixのベストワンってこれじゃない???
いやこれであってほしいやん!!!

いや、実際のところいうと、実は日本制作のNetflixってあまり見たことなかった。っていうか、Netflixに対しては多分、前述のドキュメンタリーもそうだけど、内容の多様性とか、表現技法の新しさとか、そういうものを求めていて、だけどこれまでの日本制作のものには、あまりそれを感じなくて、普通の地上波のTVと何が違うんだろう、というか…(よくわからない方はスルーしてください。)

でもでも、日本制作のものでハマったのは、コレ。
1人の野心ある若者と、相撲界の荒波と闇を描く。(これだけ書くと、新規性あるのかあれだけど、)そもそも相撲という競技自体、国技であり、聖なるものという感じのある(だからサンクチュアリ?)フィールドの、闇、なんて、描いていいの?っていう。そこは紛れもなく新規性。

もちろん、素直に主人公の成長物語(そしてヒロイン的位置づけの、記者の)として見ることもできるけれど、歪みを暴く、はまさにNetflixのジャーナリズムだと思う。(もちろんこれはフィクションだけれど)

・タニマチが新興宗教の教祖
・兄弟子からの強い当たり
・内部の人間が、八百長にかかわる

このあたりの話は、、エッグいな…と思いながら視聴した。
ベールに包まれたもの(かつ旧時代的なもの)の良さも描きつつ。歪みも描く。

エブリシング・エブリウェア・オール・アットワンス

映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』公式サイトマルチバースとカンフーで世界を救え?!スタジオA24(「ミッドサマー」)が贈る空前絶後のアクション・エンターテイメント、降gaga.ne.jp
最近、劇場で映画を見ることは、本当に少なくなった。
だけど、アカデミー賞を7部門受賞したアジア系アメリカ人の、SF映画ってニュースで見て、いやいやなにそれ???パンチつよ。見た過ぎるやん。っていう。

見に行った。

ランドリーを経営する、アジア系アメリカ人の家族。確定申告(だったと思う…?)が間に合いそうになく、母親はずっとレシートを数えている。娘には付き合っているガールフレンドがおり、同性愛を、母親が拒絶することも、受け入れることも、違うようである。その母親につらく当たられる父親(夫)は、離婚を考えている。

そんな中、突如として母親はメタバースを体験できる力が宿り、様々な世界を行き来する。

はじめは、ほんっとうに訳が分からない。
本当にわけがわからない。わからなすぎて、これどうやって終わるん!?って感じだった。

そこからの急展開。
急展開で大感動。(これもう、説明っていうか見てほしい。)

ちょっとだけいうと、
メタバースの中に、過去の自分の世界、そんでもって夫と出会わなかった、という世界が存在する。
そして、娘が悪の女王になる世界も。
家族をめぐって、現実では不穏かもしれないけれど、じゃあこうだったら???が、見る者の心を溶かす…。

美術展
関東では、ひっきりなしにいろいろ開催されてますよね。
仕事柄たまーに平日休みの日があって、そういうすいている日に行くのが好き。

デイヴィッド・ホックニー展 | 展覧会東京都現代美術館は、常に動き続けるコンテンポラリー・アートを肌で感じることのできるスペースです。

www.mot-art-museum.jp
最近は、コレ。
デイビッド・ホックニー。イギリス出身の現代を代表するアーティスト。
抽象絵画から、自然を大胆に描いたものまで多岐に渡る。
驚いたのは作風の変遷。
もちろん画家なんて皆そうだと思うけれど、年代による作風のふり幅が特にホックニーはスゴイ。

ホックニー自身、イギリスからロサンゼルスへ、そして北欧へと住居を転々としている。その場所と共に、どこかその場所と親和性のある方向へ、作風が変わっている。例えば、ロスに引っ越した時期は、アメリカ西海岸らしい明るさと、プールの水面にうつる光を強調した作品を大胆な画風で何枚も描いている。

変化していいんだよな。
そんな風に思えた。

働き始めてから、自分の行う授業や、やりとり、ルーティン化して、なんだかそこにとらわれている気もしていたけど、
脱していいんだよな。変化していいんだよな。
自分にひきつけるのはおこがましいけれど、そんな風に思えた。


お菓子
最後はお菓子です。
コレ。(このセクション、特に深い考察とかありません。)

【公式】UHA味覚糖 商品カタログ コロロ グレープUHA味覚糖のホームページです。コロロ グレープのご紹介。www.uha-mikakuto.co.jp
めっちゃうまいよ。
ぷにぷに。
フルーツの風味強い。
美味しい。
がつがつ食べちゃう。
ちなみに(これめっちゃ有益情報!だと思う!)
梅田阪急に、プレミアムなコロロ、売ってます。

新感覚グミ専門店『cororo(コロロ)』 - 9月27日(水)夏限定フレーバー登場! UHA味覚糖新感覚グミ専門店『cororo(コロロ)』が阪急うめだ本店にオープン! UHA味覚糖のグミ『コロロ』の果実感をさらに追求しwww.uha-mikakuto.co.jp
これ。
世界一おしゃれなグミやん。
そんでもって、実がもっと肉厚で、いろんな味があります。
詰め合わせとかもある。
めっちゃすき。

おわりに
お付き合いありがとうございました。
学生時代とは違って、時間も無限にあるわけではないし、
感覚ももうそんなに若くもない。
だからか、わからないけれど、どっぷり何かにハマるって、
少し難しくなっているのかも。
だけど、まだ「心動くもの」はあって、たぶんその理由もある。
そういうのをまだ、大事にしていきたい!

他にも書ききれてないトピック(芸人さん、あと純喫茶とか)もあるので、その2も書きます。

文系院生の話

おはようございます、と
研究室の重い扉を開けると、先輩たちは「なぜ、プリキュアとか女の子が主人公の戦隊ものは男の子が主人公のそれよりも『変身シーン』が長いのか?」について真剣に議論している。

文系(文学系)院生の日常のひと場面。
私は、こういう光景が大好きだ。
「女の子、ひいては女性は身支度に時間をかける。それは、身ぎれいにする目的でもあれば、自分の楽しみのためでもある。そのワクワク感が『変身シーンに詰まってるんじゃないか?」とひとりの先輩が提示すると、
「いや、それって偏見じゃない?」と、他の先輩が言う。

ここまで、議論が進んだところで私が入ってきたことに気づき、挨拶を返してくれる。

理系の領域が、理系の大学院生が、テクノロジーや機械、あるいは快適に人間が暮らすための構造を発見し研究しているなら、(理解が乏しく、申し訳ない)文系、文学系の院生は、こういった「考え方」を創出している、と言えると思う。

文学の領域の研究、というと、ふわふわとした綿あめのような「虚構の物語」を、ああでもないこうでもないと退屈な議論を交わしている、というのが、もしかすると世間が持つイメージだろうか。

ある意味では、そうかもしれない、そう見えるかもしれない。

でも、ある意味では、それは少し違う。

批評能力を培う
私たちの研究・批評対象は確かに先人たちが作り出した虚構の詩や小説、映像作品である。(もちろん、ノンフィクションや伝記、自伝も含まれるので、この言い方では語弊があるが)

しかし、私たちはその虚構の世界を「実(じつ)」から分析する。
「実」というのは、作品が生まれた時代の歴史性や、生まれた場所の土地性、あるいはその時代・空間に流行していた理論(これは、心理学や言語学社会学まで多岐にわたる)を駆使し、その作品の中にある描写や登場人物たちの言動や作家が用いた文体・言葉を分析していく。

それは、一つの物語・作品の中にとどまらない。
違う時代の、違う空間で生まれた複数の作品を並べて、類似点を挙がれば、その背景にある社会現象や、人間一般の現象の関連性を「実」からまた考える。

こうやって、私たちは批評の枠組みを日々学んでいくのだ。
もちろん、他にも身につくことはある。読解力も、文献を読むための語学力(それを生かし、教員免許をとる人も多い)、日々求められるコメントやプレゼンで身につく情報処理能力や思考力もそうかもしれない。

でも、最も鍛えられるもの、は「批評能力」だろう。
批評、にはさまざまある。女性の被抑圧的な立場や視点から男性優位だった社会、文学を再読するフェミニズム批評や、経済格差や階級から作品と当時の社会を再考するマルクス主義批評。(これはほんの一例なのだけど)

つまり、文学を読み、研究することとは、そのテクストを生んだその社会を分析するということに等しく、社会の中で起こり得る「考え方」、「思考のルート」を先人たちのそれに関して学び、そして新たに発明する。

文学研究とポップカルチャー批評
だからこそ、文学系大学院生は(もちろん、本業も頑張ってますよ。)アニメや漫画、漫才、落語などのポップカルチャーをいろいろな視点(社会的背景、舞台になっている土地の特徴、その時の経済や通信手段)などから意見することが好きな人が多い。

 

アニメ批評も、昨今では文芸誌に掲載されるようになっているし、フェミニズムの視点からアニメや映画を分析する書籍等も、最近ではかなり人口に膾炙してきていると思う。
こういった批評のあれこれは、今まで書いてきたように文学系の院生が日々行っていることと同じなのである。
テクストや映像作品を丹念に理解する➡周辺の情報、社会現象をリサーチする➡その関連性や因果を思考➡思考を言語化する。
この流れを、わたしたちは日々繰り返しているのである。

ここまでのことは、私が大学院に入学してからの約半年で思った所感なので、それ以上の深い醍醐味もきっとあるのだと思う。

実学コンプレックス
ここまでを振り返ってみて、私は近年議論が盛り上がる「文学部不要論」を否定的に見る。

そもそも、私は実学/虚学という言葉自体好きではない(虚学ってなんだよ。)し、そもそも役に立つとか立たないとかいう尺度で学問を考えることはおかしい、とは思う。

とは言いつつも、私自身、理系の人と接していると、本当にこの「実学コンプレックス」を感じてしまった。研究室とか、ポスター発表とか、実験…そんな言葉を使うたびに、うわっていう、なんだか複雑な気持ちがあった。
私だって、情熱をもって自分の研究に取り組んでいたつもりだった。でも、「それは、何の役に立つの?」という質問には、即答できないでいたし、そのような価値観から目をそむけていた。
大学、大学院で宇宙研究をしている中学からの親友は、その価値観について私が語ると、「でもさ、研究なんて自分がスキならいいんだよ。」と言ったけれど、それもそれで、少し悔しさを感じていた。

しかしながら、ある意味で学術の領域で、最も「なんでもありのカオス!!!」な虚構の世界を分析する文学の世界は(アメリカのシットコムや、セレブリティ、コミックを真面目に研究する人もいます。)多様な視点を持つという点、知識の幅広さと器用さ、には長けていると思う。
あるいは、周縁化されているものに焦点を当てる(クィア批評、あるいは植民地だった土地や欧米中心主義に疑問を呈するポストコロニアル批評、マルチカルチュアリズムなどは最近持ち上がりを見せている)、簡単にいうと「やさしくない社会」から「やさしい社会、寛容な社会」へ、という意識にも優れているだろう。

そのような視点は、確かにはっきりと目には見えないが、
「役に立つ/立たない」という尺度でそれを考えるならば、大いに社会の役に立つ、という以外の答えを私は出すことができないし、今なら目をそむけずに、その意義を考え、述べられると思った。

 

 

 

卒論概要フォーマット(だいたいのメモ)

文学研究に関する卒論概要1000words(ワード2ページ半)

 

1.テーマ

・扱う小説・作家の詳細な情報

→あらすじ説明

そこから何を見るのか

→時代背景、人物像(複数扱う場合は共通する点を特に)

→どういう視点から読んでいくのか?(フェミニズム、経済、何か特定のテーマがあれば)

 

ex. 

山崎豊子『二つの祖国』から戦中日系アメリカ人の「孤独」を読む

松本清張『黒地の絵』から黒人米軍と日本の「ムラ」社会の対照性を読む

・Margaret Mitchell "Gone with the Wind"から黒人ハウスワイフと南部女性の関係を読む

 

2.主題設定の理由

・作品を選んだ個人的でなくアカデミックな理由(面白そうとかじゃなく、研究意義)

→その作品から見られる、読むことができると思った具体的な現象や要素(時代性、他の類似作品や作家にも言及する)

→なぜそう思ったか?(先行研究にも言及し、今までとは異なるアプローチをとる、というアピールをする)

 

3.研究概要(ラインナップ)

・チャプターラインナップ

・それぞれ暫定的でいいのでそれぞれのチャプターの内容説明。(今までの研究を言語化して組み立てていく)